2021年国内旅行人気ランキングを徹底検証|コロナ禍の激変と選ばれた名所
感染症拡大に伴う緊急事態宣言の断続的な発出、そして政府主導の観光支援策「Go To トラベル」の全国一斉停止に見舞われた2021年。戦後最大の転換期に直面した当時の観光市場では、これまでの常識だった「遠くの有名観光地へ出かける」という行動規範が崩壊し、旅行の目的そのものが根本から見直されました。
インバウンドが本格的に回復し宿泊価格の高騰が続く2026年の現在から振り返ると、2021年に生まれた独自の旅行様式や分散型の観光スタイルは、まさに現代のスマートな旅の原点となっています。当時の公式統計、宿泊予約プラットフォームのデータ、現場関係者の証言を丹念に再検証し、激動の2021年国内旅行人気ランキングの実態と、そこから浮かび上がる本質的な変化を浮き彫りにします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2021年の国内旅行人気ランキングでは、移動制限とGoTo停止の影響で北海道・沖縄などの遠隔地が一時的に苦戦し、自宅から1〜2時間圏内の近郊エリア(静岡・長野・千葉など)が急伸した。
- 要点2:「非接触・個室・混雑回避」が最大の選定基準となり、客室露天風呂付き客室や一軒宿を備える温泉地、オープンエアな自然派リゾートへ需要が集中した。
- 要点3:ワーケーションやひとり旅、高級プライベートヴィラ需要の定着など、2021年に確立された旅行トレンドは2026年の観光スタイルにも不可欠な知恵として受け継がれている。
【2021年国内旅行人気都道府県ランキング】激変した勢力図と選ばれた決定的な理由
観光庁の「旅行・観光消費動向調査」および大手旅行予約サイト(じゃらん、楽天トラベル等)が公表した宿泊実績データによると、2021年の宿泊旅行先ランキングは前年までにない劇的な構造変化を記録しました。例年トップを争う北海道や沖縄県が移動制限と直行便減便の影響を直接受けた一方、三大都市圏に隣接するリゾート地が驚異的な支持を集める結果となりました。
年間を通じた宿泊実績ベースの2021年国内旅行人気都道府県の上位陣は、以下のような顔ぶれで推移しました。
- 第1位:東京都(※都内居住者による「都内ステイ」「ステイケーション」需要が下半期に急増)
- 第2位:北海道(広大なオープンエア環境と富良野・ニセコ・知床など自然派エリアの底力)
- 第3位:静岡県(首都圏からのマイカーアクセス、熱海・伊東など温泉地の圧倒的近便性)
- 第4位:沖縄県(本島北部や宮古島・石垣島など、密を避けたリゾート滞在の根強い人気)
- 第5位:長野県(軽井沢や白馬をはじめとする高原リゾート、グランピング・アウトドア需要の受け皿)
- 第6位:神奈川県(箱根・湯河原を中心とする近場温泉地、横浜ベイエリアのマイクロツーリズム)
- 第7位:千葉県(房総半島のオーシャンビューヴィラ、貸切コテージ、鴨川・館山エリアの再評価)
この順位の背後にあった決定的な要因は、感染リスクを最小化する「パーソナルモビリティ(自家用車)での移動圏」という制約です。新幹線や航空機といった公共交通機関の利用を避け、ドア・トゥ・ドアで直行できる距離感であることが、行き先決定における最優先条件となりました。
長年上位の常連であった北海道旅行おすすめエリアでは、札幌市街地中心の周遊型から、富良野や十勝、ニセコといったプライベートコテージや広大なリゾートホテルでの「おこもり型滞在」へと利用者の志向がシフト。沖縄観光人気ランキングにおいても、那覇市街地のビジネスホテルや国際通りの混雑を避け、読谷村や恩納村のリゾートホテル、さらには離島のヴィラに直接チェックインして海辺で完結する滞在スタイルが圧倒的な支持を集めました。

データで見る激変の爪痕|国内旅行費用相場推移と観光地混雑状況まとめ
2021年の国内旅行市場を客観的に評価する上で欠かせないのが、消費構造の二極化と移動距離の短縮です。観光庁の年間統計データを基に、当時の旅行消費と混雑傾向を整理しました。
| 項目 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 国内旅行総消費額 | 約9.1兆円(前年比微増・2019年比約49%減) | 平時(2019年):約21.9兆円 | 延べ旅行者数の減少幅が大きく、市場規模はほぼ半減の状態で推移。 |
| 国内旅行費用相場推移(1人1回) | 宿泊旅行:約33,000円〜38,000円/日帰り:約14,000円 | 平時:宿泊約55,000円/日帰り約17,000円 | 交通費の圧縮が進む一方、高級宿での宿泊単価は過去最高水準を更新する二極化が発生。 |
| 観光地混雑状況まとめ | 大都市繁華街:前年同期比30〜50%減 近郊自然リゾート:週末を中心に80〜110%稼働 | 平時は都市観光・有名テーマパークに集中 | 都市の閑散と近郊キャンプ場・温泉地の満室という極端な需要の偏在が常態化。 |
| 主な移動交通手段 | 自家用車・レンタカー利用比率:約62.4% | 平時:自家用車約45%/鉄道約30% | 「他者との接触を避ける安全な移動空間」として自動車シフトが決定的に。 |
当時の国内旅行費用相場推移を掘り下げると、移動距離が縮小したことで新幹線代や航空運賃などの交通費支出が削られた一方、宿泊費そのものに対する予算配分は拡大していました。「旅の回数を年1〜2回に絞る代わりに、感染対策が徹底された1泊5万円以上の露天風呂付き客室に泊まる」という、メリハリの利いた高付加価値ステイが定番化したのです。
コロナ禍旅行トレンドの深層|マイクロツーリズム人気スポットとGoToトラベル影響と評判
2021年の国内旅行を語る上で欠かせない象徴的なキーワードが、星野リゾート代表の星野佳路氏らが提唱した「マイクロツーリズム」です。自宅から1〜2時間圏内の近場を旅し、地元の魅力や食文化を再発見するこのコンセプトは、長引く自粛生活で疲弊した消費者の心理と合致しました。
具体的に脚光を浴びたマイクロツーリズム人気スポットには、明確な共通項がありました。
- 関東圏:箱根・湯河原(神奈川)、熱海・伊東(静岡)、秩父・長瀞(埼玉)、南房総(千葉)
- 関西圏:有馬温泉・淡路島(兵庫)、白浜(和歌山)、琵琶湖畔・雄琴(滋賀)、天橋立(京都北部)
- 中京圏:下呂・飛騨高山(岐阜)、伊勢志摩(三重)、知多半島(愛知)
- 九州圏:由布院・別府(大分)、黒川温泉(熊本)、嬉野・武雄(佐賀)
これらのエリアは、県境をまたぐ大規模な越境移動を避けつつ、豊かな自然や良質な湯を満喫できる絶妙な距離感に位置していました。また、地元の銘柄牛や旬の特産品を部屋食で味わうプランが次々と開発され、宿泊施設が「地域の文化を発信するショールーム」として機能し始めたのもこの時期です。
一方、観光業界を翻弄したのがGoToトラベル影響と評判の行方でした。2020年12月末に突如停止された全国一斉支援事業は、2021年中も感染拡大の波が押し寄せるたびに再開が見送られ続けました。報道各社の当時の調査では、事業者側の「事業再開による経済的救済を望む切実な声」と、一般世論の「感染再拡大への不安から再開に慎重な姿勢」が激しく対立。結果として、各都道府県が独自に予算を拠出した「県民割(地域観光事業支援)」や隣接県を対象とした「ブロック割」へと施策の重心が移り、結果的にマイクロツーリズムを強力に後押しする財政的インセンティブとなりました。
目的別・同行者別の人気動向|温泉地・ひとり旅・家族・カップルのリアル
旅の形態が細分化した2021年は、同行者の属性によって選ばれるエリアや宿泊形態の差別化が過去最も顕著になった年でした。
温泉地人気ランキング2021:客室設備重視の「おこもり温泉」が席巻
大手旅行誌の温泉地人気ランキング2021では、定番の草津温泉(群馬)、箱根温泉(神奈川)、由布院温泉(大分)、登別温泉(北海道)、道後温泉(愛媛)が依然として高い知名度を維持しました。しかし、予約の内訳を見ると明らかな変化が見られました。
大浴場の利用に抵抗を感じる旅行者が増えたため、「客室露天風呂付き」「半露天風呂付きスイート」「貸切風呂の無料事前予約」を提供する宿から真っ先に満室となる現象が定着。また、温泉街の食べ歩きや散策をメインとする過ごし方から、早めにチェックインして翌日のチェックアウトまで一歩も宿を出ない「おこもり滞在」が基本スタイルとなりました。
ひとり旅おすすめランキング:ワーケーションとソロリトリートの台頭
テレワークの急拡大に伴い、ひとり旅おすすめランキングには新たな潮流が押し寄せました。静寂な環境で仕事と休暇を両立させる「ワーケーション」の受け皿として、長野県の軽井沢・松本、静岡県の伊豆高原、京都の町家ステイが独身層やリモートワーカーの熱狂的な支持を集めました。誰にも気兼ねせず、Wi-Fi完備の静かな個室で作業に没頭し、合間に温泉やサウナでリフレッシュする「ソロリトリート(自分を取り戻す旅)」は、ひとり旅の新たな価値基準を確立しました。
家族旅行人気ランキング2021:アウトドア&貸切施設へのシフト
子連れのファミリー層を対象とした家族旅行人気ランキング2021では、大型テーマパークの入場制限やパレード休止が続いたことを受け、グランピング施設や一棟貸しヴィラ、コテージキャンプ場がランキングを席巻しました。富士五湖周辺(山梨)や那須高原(栃木)、淡路島(兵庫)など、子どもが周囲に気兼ねなく走り回れるプライベート空間と、バーベキューなどのアウトドア体験を両立できるスポットに予約が殺到しました。
カップル旅行穴場スポット:密を回避するドライブ&隠れ家リゾート
若年層やカップルの間では、公共交通機関を使わずに訪れられるカップル旅行穴場スポットがSNSを中心に拡散されました。神奈川県の三浦半島や葉山、千葉県の房総半島先端、滋賀県の奥琵琶湖など、都心から車で2時間以内のオーシャンビュー・レイクビューを誇る小規模デザインホテルが注目を浴びました。大型ホテルにはないプライベート感と、非日常の絶景を独占できる体験が若者の共感を呼びました。
【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
当時のSNS(Twitter/XやInstagram)や知恵袋、旅行記ブログには、息苦しい社会情勢の中で旅に出ることへの葛藤と、現地で得られた安らぎが赤裸々に綴られていました。
「他県ナンバーの車で地方に行くことすら周囲の目が気になり、後ろめたさを感じていた」「県民割を使って車で40分の温泉旅館に泊まったら、近場なのに想像以上の非日常感を味わえて家族全員が救われた」といった投稿が多数見受けられます。旅が単なるレジャーではなく、「精神的な閉塞感からの一時的な避難(エスケープ)」としての切実な役割を担っていた様子が窺えます。
宿泊現場の経営者や女将たちも、従来のビジネスモデルからの急転換を迫られていました。当時のホテル業界紙や地方紙の取材記録には、次のような現場の証言が残されています。
「インバウンドが完全に蒸発し、修学旅行や宴会も全滅した。だが、客室露天風呂を備えた離れの部屋だけは、1泊6万円を超える高単価にもかかわらず数か月先まで満室が続いた。お客様が求めていたのは、安さではなく『絶対的な安心感と家族だけの時間』だった」(伊豆の老舗旅館総支配人)
「県内や近隣市町村からのお客様が7割を超えた。地元の方に『近くにこんな良い宿があったなんて知らなかった、また来ます』と声をかけられたとき、観光が地域住民に支えられている原点を痛感した」(信州・高原リゾートオーナー)
現場の必死の衛生管理と、利用者の徹底した自己防衛意識が重なり合うことで、移動の制約下における独自の信頼関係と新しいおもてなしの形が紡ぎ出されていったのです。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「自粛一色」ではなかった観光の真実
現在でもネット上などでしばしば見られるのが、「2021年は全国民が完全に旅行をやめており、観光地はすべて壊滅状態だった」という短絡的な誤解です。しかし、統計データと現場の推移を詳細に読み解くと、実態は全く異なります。
全体としての旅行消費総額や延べ宿泊者数は激減していたものの、「感染対策を徹底し、高付加価値化に舵を切った特定の宿泊施設やエリア」は、過去最高益に近い数値を叩き出していました。客室稼働率をあえて60〜70%に制限して館内の混雑を完全に防ぎ、その分客室単価を1.5〜2倍に引き上げることで、利益率と顧客満足度を同時に高める戦略に成功した施設が数多く存在したのです。
観光社会学の観点から分析すると、この時期の旅行行動は「自己正当化とリスク回避を両立させる心理的バウンダリー(境界線)の設定」によって説明されます。旅行者は「密閉・密集・密接を避ける」「近場で完結させる」「家族以外とは同席しない」という厳格な自己ルールを課すことで、社会的な後ろめたさ(同調圧力)を中和し、旅の意義を再定義していました。これが結果として、マスツーリズム(大量観光)からパーソナルツーリズム(個別化された質の高い滞在)への進化を5年〜10年分加速させる触媒となったのです。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
2021年に培われた「近場・高付加価値・混雑回避」を重視する旅行スタイルは、インバウンドによるオーバーツーリズムや観光公害が問題視される2026年現在の環境においても、極めて実践的な知恵となります。このアプローチが向いている人と、そうでない人の基準を明確に整理します。
- 向いている人の条件:
- 有名観光地の行列や混雑に巻き込まれず、心身の休養とリフレッシュを最優先したい人
- 移動に長時間をかけるよりも、現地での滞在時間や宿の設備(客室サウナ、露天風呂、部屋食)を贅沢に楽しみたい人
- 地元や近隣県のまだ見ぬ名所、歴史、隠れた郷土料理の発掘に知的好奇心を感じられる人
- 慎重になるべき人の条件:
- 「できるだけ安く、1泊で数多くの観光スポットをハシゴしたい」というスタンプラリー型旅行を好む人
- 夜間の歓楽街やにぎやかな繁華街、大人数での飲食イベント自体を旅の主目的に据えている人
- 公共交通機関のフリーパス等を使って長距離移動すること自体に達成感を覚える人
【国内旅行 人気ランキング 2021】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2021年の国内旅行で最も宿泊実績が多かった都道府県はどこですか?
A1:観光庁の延べ宿泊者数データによると、年間トップは東京都、次いで北海道、静岡県、沖縄県、長野県でした。東京都は遠出を控えた都民による高級ホテルでの「ステイケーション」需要が下半期に下支えし、静岡や長野は首都圏からのマイカードライブ圏として高い宿泊実績を記録しました。
Q2:2021年の「Go To トラベル」は再開されたのですか?
A2:2020年12月28日に全国一斉停止されて以降、2021年中に「Go To トラベル」が全国規模で再開されることはありませんでした。代替措置として、各都道府県が独自に宿泊割引や地域クーポンを発行する「県民割(地域観光事業支援)」が実施され、これがマイクロツーリズムの利用促進に決定的な役割を果たしました。
Q3:2021年に急増した旅行トレンドで、現在も定着しているものはありますか?
A3:「客室露天風呂・サウナ付き客室の人気」「グランピング施設や貸切ヴィラの定着」「モバイルチェックイン等の非接触システム」「ワーケーション」などが完全に定着しました。観光地を忙しく巡る旅から、プライベートな宿でゆったり過ごす「滞在型旅行」の価値は、現在の観光シーンでも主要な選択肢となっています。
まとめ:2021年の教訓から導く、これからのスマートな旅の知恵
2021年の国内旅行人気ランキングを再検証すると、未曾有の危機の中で観光の本質がいかに純化されたかが見えてきます。遠くへ行くことだけが旅の価値ではなく、身近な場所にある豊かな自然や上質な温泉、そして誰とどのような空間を共有するかという「滞在の質」こそが、旅行の幸福度を決定づけるのだという真実を、当時の人々は見出しました。
観光地が再び世界中からの旅行者で賑わい、宿泊価格や混雑がピークを迎えている今だからこそ、あえて近場の隠れ家リゾートに目を向け、人混みを避けてパーソナルな時間を慈しむ――2021年の逆境が生み出したスマートな旅の選択眼は、これからの旅行計画を豊かにするための確かな道標となるはずです。 (出典: 国内旅行 人気ランキング 2021(Yahoo!ニュース))